2011年4月2日土曜日

クルセイダーズ /"Scratch"(サックス:ウィルトン・フェルダー)

前回はベルグ・ラーセンのテナーマウスピースについて書かせていただいたが、
本日はウィルトン・フェルダーをご紹介する。

テキサス・テナーらしい鷹揚さがフェルダーの魅力でもあるが、ラーセンのマウスピースはコシのある音色作りの一翼をに担っていると思う。



フェルダーといえば勿論クルセイダーズだ。
名演が多いので一枚を選ぶのは難しいが、ライブ盤ということで『スクラッチ』を選んだ。

1977年録音。
ヴォーカルなし、インスト時代のころの作品だ。
瓶から水銀が流れ出ているという、趣旨も意味もさっぱりわからない謎のジャケットだが、フュージョンの先駆け的バンドのライブ演奏という点でも非常に評価は高いようだ。

何より聴くべきは3曲目"Hard Times"だろう。
この1曲を聴くためだけに本作を買う価値があるといっても過言ではない!

古いブルースのスローナンバーをフェルダーがフィーチャリングで歌い上げる、これを超名演と呼ばずしてなんとする。
運指とタンギングがところどころ合わなかったりと決して饒舌なテナーではないが、客の期待や盛り上げどころを心得た節回しがたまらん。

他にはキャロル・キングの名曲"So Far Away"もやっている。
曲自体はポップス曲をインストでやりましたみたいな感じなので個人的にはそこまでグッとこないが、ボントロとテナーがひたすら循環呼吸でロングトーンし続けるという、ある意味「名演」を聴くことができる。


しかし、バンドが有名になればなるほど、各プレイヤーのソロ活動は難しくなるものだ。
フェルダーもしかり、ソロ名義のアルバムも聴いたが、バンドの延長にあるサウンドという色彩が強く、「これならクルセイダーズ聴けばよくね?」という印象しか持ち得なかった。

サックスのスタイルとしても、ホンカー的キャラクターにはある意味限界があるということなのだろうか・・・。


Wayne Henderson (Tb)
Wilton Felder (Ts)
Joe Sample (Key)
Stix Hooper (Ds)
Larry Carton (Gt)
Max Bennett (Ba)

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