2010年11月28日日曜日

GFシステムのリガチャー

アルトではジョディのメタルを使っているのだが、付属品のリガチャーがロブナーの革のやつで、前からイマイチだなぁと思っていた。


ロブナーは音がかなり暗くなるので、ギンギン系のメタルマッピに合わせると音色がマイルドになる。

かつ太い音が出せるので使っている人は多いのだが、

反応が鈍い

という欠点もある。

反応が鈍いと、吹き始めに「バッ」と息を吹き込むようになってしまうきらいがあり、そうなると口に余計な力が入りやすくなる(気がする)。



で、このたび新大久保某所で購入したのが

GFシステム

のリガチャーである。


材質は合成皮革みたいなので作ってあるが、革の厚みはかなり薄い。

肝心の音色は、結構ガツッと鳴る印象だ。
サウンドがオープンになるというか・・・。

同じ革対応のロブナーとは別物といっていいだろう。

音の立ち上がりの反応も早い!



プロで誰が使っているかは知らんが、



いや、これいいですよ。ひひひ

2010年11月24日水曜日

武田和命 / ”Gentle November”

ぬお!CD化されてたのか?!
しかも高音質盤で再販されているとは!!
大学に入ったばかりのころ、雑誌で偶然知ったこのレコードが気になって気になって散々探して回ったことが懐かしい。


武田和命さんは1960~80年代に日本ジャズシーンを駆け抜け49歳で亡くなってしまった、

伝説的テナー奏者
である。
オープニングの広いマウスピースから放たれる、なんともいえないギザギザしたような、肉声っぽい独特の音と、不器用な語り口調のようなプレイで、天才の名を欲しいままにした。

今回紹介するのは山下洋輔さんのサポートを得た
珠玉のバラッド集『ジェントル・ノーヴェンバー』。

日本においてまだジャズがアンダーグラウンドそのものであったころの本物のジャズ。

晩秋の季節に一人で聴きたい、最高の一枚である。
1曲目はSoul Trane。のっけからやられます…。
その他は、是非ご自身の耳で確かめていただきたい。
ジャズテナー好きなら、いや日本男児なら、購入はもはや義務である(と思う)。

というか、
売れ行きの悪い超名盤
というものはせっかく再販されてもすぐに
また廃盤
になってしまうことも多い。本作も例外ではないと思うので、「おっ!?」と感じた方は早めのチェックをオススメする。

■Songs
1, Soul Trane
2, Theme For Ernie
3, Aisha
4, It’s Easy To Remember
5, Once I Talked
6, Our Days
7, Little Dream
8, Gentle November

■Musicians
武田和命(テナーサックス)
山下洋輔(ピアノ)
森山威男(ドラムス)
国仲勝男(ベース)

関連記事
山下洋輔トリオ/キアズマ
竹内直(Ts,Fl) / "Live At Star Eyes featuring 後藤浩二"
日野元彦カルテット feat. 山口真文(Ts) / "流氷"

年末はTAFで締めろ! ~ライブ告知~

突然だが、私が所属しているアマチュア・ジャズ・ビッグバンドのライブが、

来る12月18日に

行われることになった!!




上記ビラをご覧いただければおわかりになると思うが、このバンドは

どこかのパートが血反吐を吐く曲じゃないとやらない





という、

キ〇ガイな
(おっと、こういう言葉遣いは左な方に怒られそう)


バンドである。


一体何が好きでやっているんだか自分でもわからんのだが、ひとつ言えるのは

限界に挑戦している人間は、面白い


ということだろうか。

仕事に、私生活に忙しい社会人にとって、アマチュア・バンドというのはこの上ない玩具であり、どうせやるなら面白いことやろうってなわけで、こんななってしまったわけである。


社会人が青筋立て、目を血走らせて、演奏しているところを見てやろう、という奇特な方、

是非是非見に来ておくんなまし。

2010年11月18日木曜日

楽しくて悲しいマウスピースのお話

どのマウスピースを使うか


これはサックスプレイヤーにとって、永遠のテーマのひとつであろう。

あの憧れのプロと同じマッピを使えばあんな音が出せるんじゃないか、

というありがちな幻想に突き動かされ、ろくに吹けもしないマッピをまたひとつ買ってしまう。

我々にとっては、ある意味麻薬みたいなものだ。

たとえば、「サンボーンみたいに吹きたい!」
と思って、楽器を始めて1年以内にデュコフのマッピを購入し、

吹いてみたら絶望した笑

という人は相当数いる。

※多くの初心者に道を誤らせるサンボーン




マルサリスになりたくて(爆笑)ガーデラのマッピにヘムケ4半のリードをつけたら
音が出なかった

とか、

ARBメタルを吹いたら虫みたいな音になった
(これは筆者高校生のころ。いまだにトラウマである)


などなど、こういったウソのようなホントの話は枚挙に暇がない。

※ARBといえば、クリス・ハンターでしょう↓



失礼、こんな逆武勇伝はどうでもいいのだ。

で、本題である。

筆者は高校生のころアルトではド定番メイヤー5番を使っていたが、たとえばウッズのような、「パキッ」とした、エッジのある音はぜんぜん出せなかった。
音がモコモコしてしまうのだ。高校のときに比べてアンブシュアがだいぶマシになった今でも似た状況になってしまう。

その理由には以下のようなものがあると考えられる。

① 昔のいわゆるニューヨークメイヤーと現行品とでは、そもそも材質が違う。

当時は環境汚染上等だったので、ラバーのマッピには硫黄が含まれていたらしい(スゲ)。

② そもそも、フィル・ウッズは神である。

神と同じ音を出そうなんて、不敬罪にも程がある。

※神による神がかった(?)演奏。即買いすべき名盤ぞろい。

↑若き日のウッズの超名盤。
これの"Easy Living"のアルトソロがあまりにすばらしく、3,000回は聴いた。



↑amazonに画像がないので、貼っといた。
97年録音なので、比較的ジジイになってからの吹込みだ。表題曲"Chasin' The Bird"はキレがすばらしい演奏なのだが、やってる本人たちも相当白熱してるらしく、曲のアタマと終わりとではテンポが20くらい上がっている笑!


↑レッド・ガーランドとの競演で名高い"Sugan"。
スガンってなんだろうか?まあいいか・・・。


話を戻そう。
まあ、要するにお前の吹き方が悪いのだ、と言われればそれまでだが、まあ若気の至りってことで勘弁してほしい。



ただ、不思議なことがある。

アルトではメイヤーユーザーがもっとも多いのだが、上手い人でも
「パキッ」とエッジの立ったいい音が出せる人と、私のようにモコモコしてしまう人と、明らかに2種類いるような気がするんだこれが。

なぜかはわからない。

しかし、同じことがテナーのド定番オットーリンクでも発生しているように思う。

もしかして、そのマウスピースに合った口腔内の構造みたいなものがあって、できる人できない人が分かれてしまうのであろうか・・・?

もしそうだとすると、私はメイヤーでいくらがんばっても「パキッ」とはいかないのであろうか・・・?

そんな残酷な・・・。



ちなみに、そこらへんの壁をどうしようもなく感じたので、私はハイバッフルのマッピに逃げた笑。

こういう解決方法だってあってもいいかなと。

いかがでしょう?

2010年11月13日土曜日

デクスター・ゴードン(Ts)/"Daddy Plays The Horn"

次第に肌寒くなるこの季節、仕事からの帰り道に”Autumn In New york”が無性に聴きたくなったりするわけである。

真っ先に浮かぶのは、デクスター・ゴードンのこの一枚。

"Daddy Plays The Horn"








これまたジャケットが秀逸だ。







40年代にレスター・ヤング流の柔らかいトーンとチャーリー・パーカーが完成させたバップのイディオムを融合させ、一気にスターダムの上り詰めた。
が、50年代はクスリをやりすぎて活動はままならず、塀の中で過ごすことも多かったらしい。
さらには、よき相棒であったワーデル・グレイ(ts)が55年に変死してしまう。

そんな中、ベツレヘム・レーベルによって55年に録音されたのが本作だ。

悲惨な時期から復活できたのか、カムバック作と呼ぶに相応しいすばらしい出来栄えになっている。

ちょっとマヌケで、しかし楽しいテーマが印象的な表題曲"Daddy Plays The Horn"に始まり、

5曲目に"Autumn In New york"。
これがとてつもなくグッとくるわけだ。
シナトラを筆頭に、数え切れない有名プレイヤーに演奏されてきたスタンダード。

音色は男性的逞しさを強く感じるが、力で押す雰囲気はまったくない、包み込むようなトーン。

さらに、デックスのソロはタイム感が独特なのだ。
一聴すると、遅れているようにも感じるのだが、決してそうではない。リズムの取り方が大きいということなのだろうか。
ソロ自体のフレーズは比較的単純なものが多いが、この独特のリズムも含めてコピーするのは非常に難しい。


ふくよかなトーンに、ゆったりとしたリズム感は、ジャズテナーのひとつの理想系といってもよいだろう。


デックスのアルバムには多くの名作が残されているが、中でも強くオススメしたい一枚だ。

■Musicians
Dexter Gordon (Ts)
Kenny Drew (P)
Leroy Vinneger (B)
Larry Marable (Ds)

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ジーン・アモンズのテナーバトル

2010年11月10日水曜日

デュコフって誰でしょう(下)

デュコフのマウスピースは、
ボビー・デュコフというオッサン
が作ったものである。



実は(といったら大変失礼だが)このオッサン、
プロのテナープレイヤーであったのだ。

そして、どんな演奏をしていたかというと、


なんと柔らかいサブトーン

だったのである。現在のデュコフマッピのギンギンな音色とはまったく正反対だ。

トミー・ドーシー楽団にも在籍し、自身のオーケストラでもレコードを作った。

“Sweet Swingin’ Sax In Stereo”

←これを手に入れるのはそこそこ苦労した。1,500円だったけど。












では、サブトーンをボフボフ吹いていたデュコフがギンギンマウスピースを作り始めたのはなぜなのか。

以下勝手な妄想だが、ジャズ黎明期から現在に至るまで、マウスピースマーケットではテナーならオットーリンク、アルトならメイヤーが圧倒的シェアを占めており、デュコフがリンクに似たマッピを作っても(最初はそういうのを作っていた)市場に食い込めなかったのではあるまいか。

そうこうしているうちに時代はフュージョン・クロスオーバー時代になり、そちらに方針転換した、なんてこたないかな。

そんなデュコフも今年生きていればなんと92歳である。元気にしてるんだろうかと思い、本家ホームページを見てみたら・・・。









心配して損したわい・・・。

オチがなくてスンマセン。
☆おしまい☆

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デュコフって誰でしょう(上)

2010年11月9日火曜日

デュコフって誰でしょう(上)

サックスを嗜む人ならば、一度は「デュコフ」という名前を聞いたことがあるだろう。

ご存知、ロック・フュージョンで多用されるマウスピースのメーカーである。

このマッピを使っているもっとも有名な人といえば、これまたご存知、デイビッド・サンボーンだろう。


現在はアルミのようなツルツルの材質であるが、70年代は鉛が含まれた合金で作られており、経年とともに酸化して黒く変色することから国内では
「黒デュコフ」
とも呼ばれ、ケッコーなお値段で取引されている。
しかし、鉛が含まれているため材質がやわらかく、ネットオークションで気合で落札したらサイドレールが削れて使い物にならないなど、

ババをつかまされることもしばしばとか。


この時代のデュコフは現行品より音が若干重く暗くなる傾向があり、非常に人気が高い。

サンボーンや若き日のブレッカーも好んで使っていた。

↓↓あまりにベタ過ぎるが、教科書的名盤ハズレナシ。



ちなみに、その昔アメリカの廃車解体屋で出た鉛をもらってきてデュコフのマッピを作ってたとか、怪しい都市伝説の類まである(ホントかよ)。


まあとにかく、鉛なんて毒なわけで、そんなもんを口に含んでベロベロチュバチュバしていいはずがない。

でもまあ、
音がよくなるんならいっか!!!!


ちなみに私はバリトンでマイアミ・フロリダ時代のものを使っている。

これは「黒デュコフ」時代の後に作られたものなので、素材は現行のものに近く銀色でツルツル。
ただ、現行品に比べ若干重量が重く感じる(気のせいかな…いやいや気のせいじゃない!)。

音もより低重心に聞こえる(これまた気のせいかな…いやいや気のせいじゃない!)。


まあとにかくだ、さまざまなハイエンドマウスピースが氾濫する現在にあっても、デュコフはそのピーキーかつハイパワーなサウンドで根強い人気を誇っている。

曰く、「ギターのディストーションに負けないサウンド」。
曰く、「フュージョン時代の革命的マウスピース」。

ところで、
そもそも「デュコフ」ってどんな人なのだろうか?

デュコフって誰でしょう(下)はコチラをクリック!

2010年11月3日水曜日

ジョン・ルイス/"Grand Encounter" サックス:ビル・パーキンス

好きなテナーサックスは誰かと聞かれて、ビル・パーキンスと答える人はほとんどいないだろう。
スーパーサックスや秋吉敏子オーケストラに籍を置いたころもある西海岸系のテナーだが、
作品も少なく、マイナーなプレイヤーといわざるを得ない。

そんな彼の随一の名演と呼べるのが、MJQのディレクターと務めたピアニスト、ジョン・ルイス名義の
”Grand Encounter”
である。

まず、ジャケットがいい!
夕日の差す野原に寝転がる可憐な少女。

たまらんぞ!この野郎!
まずこの時点でジャケ買いである。

肝心の内容だが、もともとMJQも激しい演奏をするグループではないので、「東西の邂逅」と銘打った本作も、東西対決ムードはなく、ましてハードバップのようなバキバキ系でもなく、
ゆったりとした時間が流れていく。

ビル・パーキンスは、スタンダードの名曲に乗せて、あらかじめ譜面に書かれてあるかのようなメロディックなソロを淡々と吹く。

特に3曲目”Easy Living”が秀逸。バラードを柔らかな音で奏でるテナーは必聴だ。


■Musicians
John Lewis (P)
Bill Perkins (Ts)
Jim Hall (Gt)
Percy Heath (Ba)
Chico Hamilton (Ds)